スタッフ通信


VOL.93 2014/09
居酒屋と行列
 行列の出来る飲食店ってのは、テレビでも定番ですね。とってもよくある光景です。今月は、飲食店が作る行列を分解してみたいと思います。
 そもそも行列の出来る飲食店の魅力ってなんだろう。行列が出来ているから、さぞや美味しいのだろう。だから私も食べてみたいって気持ちなんだろうけど、これ、居酒屋だと、どうだろう・・・? 
 実はね、行列の出来る飲食店ってのは、だいたいがレストランです。それはすなわち行列の出来る原因となるメニューがあるってことです。なので、行列の出来るレストランの場合、8割は人気のメニューが注文されます。つまりそれが行列の原因って事になるでしょう。コストパフォーマンスで行列って実はあんまりないんですよ。
 そして、居酒屋の場合はどうか? です。私は正直言って居酒屋で行列ってなぜ? って思います。商品アイテムが多い居酒屋です。人気メニューで、行列って事もあるでしょうけれど、そのメニューを食べて、はい、お会計ってならないよねぇ。なぜなら、居酒屋なんですもの。つまりお料理を食べて、はい、お会計ってのがレストラン。でも居酒屋の場合は、心が満たされてお腹いっぱい心もいっぱい、そして初めて、ああ、満足ってことなのです。食べて満足なのがレストラン。心が満足なのが居酒屋って事なのです。
 なので、居酒屋ではどうしても行列ができにくいんです。逆に、考えてみてください。行列の出来る居酒屋さん。行きたいですか? 居酒屋の場合、特定のお料理を食べるのではなく、飲みに行くのです。話をする場なんです。だから滞在時間もレストランと違ってて長い。ゆえに、行列を嫌う傾向にあるのです。すぐに入れない、かなり待たなきゃならない、そんな行列の場合、並ぶには相当な覚悟が必要なのです。
 行列に並ぶには勇気のいる事です。その行列が確信をもって安心できる、信頼できる、って事にならないと、普通、人は並んだりしないものです。だから、行列の背景にはいつも、テレビなどの露出がよくあるのも事実です。
 また行列が出来ると、顧客は、よほど、何か良い事があるのではと期待します。これだけの人が行列を作って待っている。だからきっと良いことがあるのだろうと。これは、お店にとってみると、大変なプレッシャーです。よって行列の中で待つ顧客を満足させる事は相当無理があります。行列して食べてみたけど、たいした味ではなかったよって事はアナタも過去あるはず。期待値が大きければ大きいほど、それを超えるのは大変なのです。
 こうしてみると、飲食店は、どうして行列を作っちゃうんだろう。行列って、本当に、飲食店にとってみて、良い事なのだろうか? そう思ったアナタは鋭いね。飲食店だけではなく、その他のビジネスでも全般的に言えることですが、行列ができるってのは、ある種の販売促進効果を狙った事業者側の戦略にすぎないのです。考えてみてください。行列の出来る店なんて簡単に作れますから。要は、その行列を作って、他者に対してアピールします。うちの店はいい店なんですよ。繁盛しているしこんなにたくさんのお客様に支持されている、つまりはうちの店で買うには安心で安全ですよってね。つまり販売促進です。
 顧客は、それに最初は騙されます。でも、長くは、騙されません。顧客はバカではありません。顧客は正直で賢い。だから中身の伴わない行列には烈火のごとく立腹し、その行列はとたんに月日と共に短くなり、やがてはなくなるのです。店も行列も・・・。
 居酒屋で行列。それが一体どんな意味を持つのか。少なくとも居酒屋で行列ってのはナンセンスって事だけは言えるでしょう。行列・・・。分解すると奥が深そうだ・・・。
 良い評判を得る方法は、自分自身が望む姿になるよう努力することだ  ソクラテス

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