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スタッフ通信
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VOL.91 2014/07
居心地の良さ
お客様が来店されて、どの席に案内するのかってのは、実はこれ、けっこうな技量を要します。お客様がすでに座っているテーブルとそうでないテーブル、それなりに悩まないといけない配慮が私達には、実はいつも求められるのです。
想像してみてください。店側の都合で一か所のテーブルだけが埋まっている飲食店。全体に空席が目立つのに、その一か所のみお客様が座ってるんです・・・。不自然ですよね。
お店全体に賑わいを出すには、それなりの演出が必要です。特に酒場の場合、ピークタイムにどのような席の埋まり具合となるかを予想する力も必要です。つまり、その日の売上げを予想して、その席を埋めてもいいかどうかを判断する力が必要なのです。万が一、忙しいという予想だとすれば、極力2名の場合はカウンターに座らせるでしょうし、暇な予想なら、贅沢に4名テーブルに2名でもいいのでしょう。要は、ピークタイム時に、まんべんなく席が埋まっている印象を顧客が受ける事。これにより、お店全体から活気が伝わってきて、繁盛してるなって思って頂く事、そんな空間の演出が、お店側にはどうしても求められる訳です。
顧客思いのお店は、顧客の状況に合わせて席案内を考えたりもします。お子様連れなら、タバコの煙に配慮してあげたり、お年寄りなら、極力、玄関やお手洗いに近い方がいいかとか、段差が少ないところがいいか、とかです。
大切な事はお店の全体的な活気です。なので席全体が埋まっていなくても、顧客の笑い声や雑談が、お店のあらゆる箇所から発生していなければならないのです。中には静かに飲みたい人、大勢で騒ぎたい人。色々です。お店側はその全体バランスを考慮に入れて、閑散とした感じがしないように、席の配置を演出しなければならない訳です。
席と席の関係と、各テーブルの特性もスタッフは意識していなくてはいけません。たまにはすべての席に座って、それぞれの席の特性を理解していなくてはいけません。例えば、この席とあの席はテーブルが違うのに視線が合う、とか、この席ととなりの席はエアコンを共有している為に温度管理に注意が必要だとか、ここの席は個室だが声が漏れるから大きな声の若者を入れるのは問題が多いとか。この席は足元が冷えるとか、言い出せばきりがありません。スタッフはそんなすべての席やテーブルの特性を見抜き、今、ご来店の顧客に対して、どの席が最善の席なのかを判断しなければならないのです。
スタッフが席の配置、つまりご案内を間違えると、顧客にとっては地獄です。女子会にエアコン直撃の部屋。しかも隣の席とエアコンを共有しているので切る訳にもいかない。他にも老夫婦の横のテーブルに若者の合コン。暇なのに、テーブルは空いているのに、ディシャップの出入り口に座らせたり・・・。スタッフの頻繁な出入りは、ドタバタとしてて、暇だと不愉快を通り越して、なんでこの席に!? ってなります。
席の案内配置は、経験と学習です。ご迷惑をかけてクレームを頂いたひとつひとつが勉強です。私達は単にお料理を提供しているのではなく、空間を提供しているのです。つまりそれは、居心地です。お客様がその店の居心地をどう判断するか、ここは重要です。雑然としていても活気がある。全体的にスタッフの笑い声が響き、顧客はとても楽しそうにしている。そんな居心地の良さってのは、実は、最初の席案内からすべてが始まっているのです。居心地が悪いなぁとお客様が判断すれば、どんな美味しいお料理もダメになっちゃいます。アナタのお店の居心地って、お客様の足を遠のかせてはいませんか?
常にベストを尽くせ。 誰も見ていなくても、 自分は必ず見ている。 自分をがっかりさせるな。 コリン・パウエル