スタッフ通信


VOL.89 2014/05
パレートの法則
 簡単に言うと、全体の数字の大部分は、全体を構成する内のほんの一部の要素が生み出していると言われています。そんな状態の事を、パレートの法則といいます。イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見したとされる法則で、「80対20の法則」「ばらつきの法則」などと呼ばれたりもします。
 なんのこっちゃ? はい。もう少し簡単に言います。つまりは、売上の8割は、全部のお客様のうち、濃い2割程度のお客様で占めている。また、売上の8割は、全商品の内の2割の品目によって作られている。そんな状態の事を、パレートの法則といいます。
 私達、飲食店なんかでもこれは言える事です。売上の8割は、約2割程度のお客様で成り立っているのです。特に居酒屋ともなると、ほんの少数のお客様によって、全体売上のほとんどが成立していると言えるでしょう。
 その証拠に、町を歩いてみてください。触れ合う人々の、その中に、常連のお客様はいますか? ほとんどのお店の場合、常連様、つまり、顔を覚えている、または、名前を知っている、そんな常連様に会う機会などは、ほんとうに、すごく稀です。だいたいにおいて、すれ違うほとんどの人が、初めて見る顔ばかりでしょう。
 町を歩いていて、常連様によく会うという場合は、よほど、小さな町か、かなりの繁盛店です。つまりは、一期一会です。そのお客様との出会いは、ほとんどの場合は、それが最初で最後になる事のほうが多いのです。
 だから私達は、その出会いを大切にしなければならない。私は、いつもそう感じています。次に、いつ、出会えるかわからない。もう出会えないかもしれない。そんなひとつひとつの出会いに、アナタは注目して考えた事がありますか?
 本日、最後の来店となるかもしれない、目の前のお客様に、アナタはたくさんの事が出来ないかもしれない。でも、今日という来店日が、最後にならないように、またそのお客様に、再び出会えるように、そのお客様の為に、何かをしてあげたいんだ・・・。そんな思いが、アナタに、ほんの少しでもあれば、アナタは、人と人とのつながりを、大切にしていると言えるでしょう。そしてアナタは、人の出会いの儚さを、随分と理解している、大人、なのかもしれない。
 どうせ、この世に生まれてきたなら、人とのつながりを大切にしてもらいたい。
私達は、飲食店です。出逢い、別れ、また出逢う。その連鎖の中で、接客は、幾度となく繰り返され、人と人とがつながり、やがて、何度となく、出会う回数が増え、そのお客様達が、常連様となり、売上のほとんどを担うのです。パレートの法則です。
 飲食業は、出会いのビジネスと言っていいかもしれない。人との出会いを大切にする人は、きっと人との出会いに恵まれている事だろう。人との出会いの中で、私は、過去、随分と、人に助けられたと感じている。だからこれから出会う人を、心から大切にしていきたいと思っている。また、人と出会う事の多くは、職場のお客様や同僚であり、出逢いはそうやって、人生のメイン街道から、導かれ、成り立って行く。私はそう考えています。
 人に恵まれていないと語る人程、人との出会いに無頓着です。どうせなら、その出会いの意味を深く考える人であってもらいたい。さすれば、きっとアナタの出逢いは豊かなものとなるでしょう。また、その希少な出逢いが、アナタにたくさんの幸福をもたらすことでしょう。人と人は、出逢いの数などではなく、実はその中身である事。それは人生としての、パレートの法則なのかもしれない。
 “垣根”は相手が作っているのではなく、自分が作っている    アリストテレス

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