スタッフ通信


VOL.78 2013/06
商品をおすすめする瞬間!
 アナタは、お客様に、「この店のおすすめは、何?」と聞かれた時、なんて答えますか? お客様から良く聞くこの質問は、実は、とっても重要です。ここで、即答出来るスタッフは、接客業の基本を身につけています。即答出来ないスタッフは、是非、即答できるよう、準備をしておいてください。
 さて、今月は、お客様に商品をおすすめするという事は、一体どういう事なのかを考察したいと思います。アナタの店にも、商品のおすすめがとっても上手なスタッフと、そうではないスタッフがいるかと思います。では、その違いは一体どこにあるのでしょうか?
 まずお客様に商品のおすすめをするには、当然に商品知識がなくてはなりません。商品の知識がないのに商品をおすすめするのは、滑れないのにスキーのコーチをするのと同じです。こんな滑稽な事はありません。
 商品知識の教育は、キッチンの仕事だと私は考えています。なぜなら、設計者が建物の構造を良く知るのと同じで、お料理の制作者はそのお料理の特性を良く知っています。シェフから料理の内容を聞かなきゃ誰から聞くのですかって感じですよねぇ。
 更に、お料理は食べなきゃダメだと私は考えています。いくら、こんな味です、とか、こんなソースを使って、などと言われても、食べなきゃわからない。だから、私は、ホールスタッフ全員に必ず、つまみ食いをさせます。レストランじゃないんです。食べ物を出して、はい終わりって商売なんて、まったくつまらない。私が求めているものは、美味しいキッチンのお料理を更に美味しく出してくれる、そんなホールスタッフです。その為には、自分が今、お客様に提供しようとしている、その味くらい、食べて知っておく事が必要なのです。
 一通りお料理の味がわかったら、自分なりの気持ちを込めて、そのお料理に華を添えるように、言葉を添えて、お客様に出してあげて欲しい。さすれば、そのお料理は、キッチンが創造した以上のパフォーマンスで、お客様にご提供されるだろう。それは、ホールスタッフの力の見せ所だ! そんな、粋な言葉を添えられて提供されたお客様は、こう思うだろう。「この店は美味しい」って・・・。そして、必ず、ニッコリしてくれるはずだ! 私が提唱する「美味しいは、ニッコリにつながる」って事はそういう事なのだ。
 商品知識が出来て、お料理の味も知っている、そして、味のある一言も添えられる、それだけが私達ホールの仕事ではない。これらはまだ序の口だ! これらの事が出来たら、今度は、商品のマニアックな知識を習得しよう! それは、いつかきっとアナタの接客を後押ししてくれる事だろう。
 たとえば「このサラダに入っているのは何?」とお客様に聞かれた時、アナタの日々の努力が実る時だ。日々の努力って言ったって、シェフとの日常会話でお勉強したその内容だ。そして、それがマニアックだ! 「はい。そのサラダに入ってる、不思議な触感のモノは、シー・クリスタルって食べ物なんです。海洋深層水を、ろ過して、汲み上げたものに、海藻から取り出した、アルギン酸ナトリウムを混ぜると、そんな風に固形化して固まるんです。海のミネラルと海藻の栄養素がたっぷり入った、国内産の、海藻麺なんです!」その瞬間、バッチリとお客様の記憶に残るだろう。「この店は、うまい!」って・・・。
 商品知識を持ち、お客様に何かをおすすめする事が出来る、というのは、飲食業として、必要最低限のスキルです。そして、接客業として、もっとも楽しい瞬間です。アナタにもそんな楽しい瞬間を、ぜひ味わって欲しいと願います・・・。

夢や目標を達成するには1つしか方法がない。小さなことを積み重ねること。 イチロー

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