スタッフ通信


VOL.65 2012/05
良いお料理って!?
 正直言って、いつかは書かなきゃならない、と、思ってはいましたが、これが、中々です。何のことって、表題の「お料理」の事ですよ。紙面足りるかなぁ・・・。
 飲食店として、繁盛するお店を作る時に、「一番大切なこと」どうしても「欠かせないこと」としてあげるとすれば、私は迷うことなく「お料理」をあげるでしょう。そしてそのお料理を、どう扱い、どう演出する、のかは繁盛店が持つべき実に重要な素養です。
 良い「お料理」っていったいどんなだろうって考えた時、それは本当に難しい課題です。
 みなさんにとって、「良いお料理」って、いったいどんなものですか? 心配りや、おもてなし、がこもったお料理? だからそれっていったいなんだよ!? 難しいですよねぇ。
 この難解な問題に日々取り組んでいるのが、大手ナショナルチェーンの商品開発部であり、私達で言えば、キッチンの料理人たちです。
 繁盛したいのなら、「良いお料理」を開発すべきです。そして、「良いお料理」とはいったいどのようなものなのかを吟味し、自らの考えを正しく持つことです。時にはこの壮大なテーマについて朝まで議論勉学するのもいいでしょう。そんな行為の中で、自己の理論を確立する事は、飲食業に携わる者として実に幸せなことです。
 かくいう私も、「良いお料理」とは、どんなものなのかを、日々、頭のすみっこにおいて、いつも考えながら生きてます。人は脳みそから煙が出るほど限界まで考えると「信念」になります。そして限界を超えて更に突き詰めて考えるとそれは「哲学」になります。そして、さらに踏み出してこれを極限まで突き詰めた時、神の領域、つまり「宗教」になります。まだまだ哲学すら見いだせない私ですが、「良いお料理」とは、いったいどのようなものなのか、ぼんやりわかっていることも少しあります。
 ここで重要なことは、「美味しい」と「良いお料理」とは全く違うステージにあるって事です。私はそう思います。「美味しい」とは、すなわち顧客からの視点です。顧客から店舗への矢印です。しかし「良いお料理」とは、真逆です。すなわち、店舗から顧客に対する矢印であるということです。私はそう思っています。( 店舗 → 顧客 )
 「美味しい」と「良いお料理」はそういう意味でステージが違います。語る次元が違うと思うんです。では、「良いお料理」とはいったい、どんなものでしょう・・・!?
 「良いお料理」ってのは、顧客に向けた矢印であるだけに、啓蒙的なところがあると私は考えています。啓蒙とはね、人に正しいことを教えて、合理的なる考え方を指し示すって事です。つまり「良いお料理」ってのは、いつの時代においても、人(顧客)に対して、これが「良いお料理」だぞって教えこむような、そんなパワーを持っていると私は思うんです。それはある種、とっても先進的で、かつ、柔軟です。時には食文化のイニシアチブ(先導者・先駆者・率先者)を担っているし、食文化の明日の創造者にもなるだろう。
 いつの時代も、そんな良い料理人達が開発した「良い料理」が、人々の心の中に残り、生き続け、やがて普遍的なるレシピとして語り継がれていく。見た目やアレンジは、時代時代の中で繰り返されるが、本当の意味での「良いお料理」ってのは、いつまでも心に残っていく。そんなものなのかなぁって私は思います。
「良いお料理」ってのをテーマにした時から、紙面が少なすぎましたね。まだまだ書き足りない私ですが、アナタにとって「良いお料理」って、どんな風ですか? 「良いお料理」ってどんなだろう!? そんなワクワクするような醍醐味を、飲食店にいるなら、少しでも考え体感してもらいたいものです! 書き残した思いの続きは、またの機会に!

感じたことを信じて、信じながら行動する        関本忠弘(元NEC会長)

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