スタッフ通信


VOL.64 2012/04
プレゼントとは・・・
 不可解なプレゼントは厄介なものです。たとえば人からタダでもらうもので、理由がないもの程、こわいものはない。当然ですよねぇ。さて、今月はプレゼントのお話をひとつ。
 プレゼントをお客様にばらまくって方法は昔からよくある光景です。テレビ番組でも、路上でも、店頭でも、とにかく、あっちこっちでいろいろなプレゼントが飛び交っています。そのどれもが企業としての戦略を担っている訳ですが、何をもって上手なプレゼントの方法と言えるのでしょうか?
 ここでは異業種さまざまある中で、飲食業としてのプレゼントのありようを語ってみたいと思います。あくまでも私の個人的見解と経験に基づくものですのであしからず。
 そもそもプレゼントとは、人が人に渡すもので、何がしかの感謝の気持ちが、しっかりと、心から、こもっていなければならない。それが飲食業におけるプレゼントの基本的姿勢であり、私の持論です。あたり前の事ですよね。でも、そのあたり前の事が、実は、全然できてない。だからどの飲食店もプレゼントを渡して失敗し、少なくないプレゼント費用を無駄にするのです。
 それにプレゼントは渡す理由がはっきりしていないといけない。理由のないプレゼントなんてものは恐怖であり、気持ち悪くて誰ももらってくれたりしない。そしてこの理由が、理由の設定付けが、実は一番センスのいる部分でもあるのです。センスのいい理由づけを!
 またプレゼントは一律機械的であってはならない。あくまでも人が人に渡すのです。このボタンを押したからガムが一個出てくるなんてものはプレゼントでもなんでもない。プレゼントはアナタが大切に思うあの人に、手渡しで、その、温もりをもって渡されるものです。もしも、体温の、そのぬくもりが無理なのであれば、文章でぬくもりを伝えればいい。それが無理なら、はじめから渡さぬのが一番だ。
 さらにプレゼントは価格や豪華さではない。プレゼントはつたなくてもいい。ささやかでいいのだ。そして、そこにぬくもりがあり、感謝の気持ちがあり、アナタから、大切なあの人に渡されるものであれば、極力、心を、上手にこめて、渡す・・・。プレゼントはそれでいい。それで十分に伝わる。そういうものである。上手な飾り言葉などいらない。へたな文章でもいい。ひとつひとつに心から、気持ちがこもっていれば、それはきっと伝わる。逆に小手先の、技や、トリックや、ひとひねり、なんてものにこだわり過ぎると、けっこうな割合で、プレゼントの感動は冷ややかに失敗する。
 最後にプレゼントは、アナタから渡されなければならない。それは会社からではない。店長からでもない。アナタの気持ちが吹き込まれた、アナタ自身から、大切なあの人に渡されるものなのです。だから私はいつも、プレゼントは手渡しじゃなきゃダメだと言います。「こちらお店からのプレゼントです」なんて言葉は機械的で、心がなく、絶対にダメなのです。プレゼントは、人と人との気持ちをつなぐものでなければいけないのです。
 「私からアナタへ。いつもいつも、本当に、ありがとう・・・」
 ささやかな言葉ですが、それでいい。それだけで十分に相手に伝わる。伝わるはずである。アナタに心からの感謝の気持ちがあれば、それで十分に伝わるのだ。
 みなさんは、たくさんの「ありがとう」を抱いて生きてきたことだろう。そして、たくさんの人に、たくさんのプレゼントを、あげたりもらったりしたことだろう。アナタがプレゼントをもらって一番うれしかった時の感動を、私はお客様にも感じてもらいたい。そしてその思いは、実は私達飲食店の源(みなもと)であることを決して忘れてはならない。

大きく考えよ。大きく考えれば、あなたはきっと大きな体験をするでしょう J・マーフィー

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