スタッフ通信


VOL.60 2011/12
自信が導く力
 突然ですが、繁盛店に働くスタッフと、不振店に働くスタッフとが持つ違いの中で、とても大きな特徴(原因)ってものがあります。それは一体なんだと思いますか? 
 繁盛しているお店のスタッフの心には、いつもどこかに、自分の店は繁盛店である、という自負や「自信」があります。人気がある店に私は勤務しているんだ、という気持ちがあるかどうかってのは、実は大きな問題として、お店の勢いや雰囲気に違いを与えます。
 繁盛店に勤務するスタッフは、どこか気持ちに余裕があります。友達や家族や親類に、どこで働いているのかを聞かれても、自信を持って自然に答えたりします。辞めたスタッフがしばらくして戻ってきたり、お店であった出来事を外でよく話したり、休日にもかかわらずスタッフがお店やグループ店に食べに来たり・・・。
 繁盛店に勤務しているスタッフはプライドを必ず持っています。これが「自信」です。スタッフは、これらをあまり意識する事なく普段過ごしています。しかしお客様は、そんなスタッフの空気感を、見事に、そして無意識に感知します。
 繁盛店は満席で座れない時も多く、そんな時もスタッフは手馴れている為、潔く、丁寧に謝罪が出来ます。心にどこか余裕があるのです。お客様はこの潔さや丁寧さに好感を持ち、この店は繁盛しているんだと感じます。そして「また来たいな」と感じます。繁盛店だということを、知るからゆえに、感じるからゆえに、お客様の心の中に、再来店の気持ちが芽生えるのです。
 お客様はいつの時代も、繁盛している店舗をこの上なく好みます。
 お客様は損をする事を意識的に嫌うからです。このお店はお客様でいつも一杯である。みんな損なく楽しめるからいつも満席なんだ。だからこのお店は安心だ。私もそんな繁盛店で食べたり飲んだりしたい!
 これが単純なるお客様の意識であり、感情です。
 逆を言えば不振店に再来店の気持ちなど芽生えません。満席時に取りこぼすお客様に対しても、執拗に再来店を求め、そこに余裕がない為、丁寧さが伝わりにくくなります。潔さがないのです。また時として無理に客席に詰め込んだりし、上等なるサービスもそこになくなり、顧客満足は低下し、悪いイメージのみが残り、ネガティブな口コミが増えます。
そんな事を繰り返すうちに、スタッフもだんだんと「自信」がなくなります。
 そんなスタッフの空気感を、お客様は、さらに敏感に察知し、再来店はなく、悪循環に陥ります。
 繁盛しているように思わせる演出をする事も、時として実に需要です。例えばいつも駐車場が満車である。週末は予約をしなきゃ入れない。などといった演出もあります。しかしこれは小手先の演出です。スタッフがお客様用の駐車場に演出を狙ってあらかじめ駐車しておく。週末は数度に一度は満席だと言う。小手先なのです。小手先のまやかしは、ただのメッキに過ぎない為、根本的な調味料が必要です。そしてその調味料となるのが、スタッフの「自信」なのです。スタッフの心の中にある「自信」は極上の味付けとなり、お客様の心象に伝わるのです。そしてこれが繁盛店となる第一歩なのです。
 繁盛店とは、つまりは「ブランド力」のようなものです。平たく言えば、お店がお客様から頂いた信用力みたいなものです。お客様から頂く信用力はスタッフの「自信」なくしては成立しません。
 うちのお店の料理は旨いんだ。お客様はいつも一杯だ。お帰りの際にはいつも笑顔だ。今日も褒めてもらった。などといった日々の営業の中で勝ち取る、スタッフの「自信」は確実にお店の体力値を上昇させ、スタッフの心を心地よくさせ、さらにお客様を喜ばせ、またのご来店のきっかけにつながります。
 逆に、スタッフに「自信」がない不振店は、いつもすべてが他人事のようです。お客様の笑顔も、サービスも、店内のクリンネスも、さらには売上やFLや経費なども、すべてがすべて、どこか、よそ事なのです。この場合、そのお店は長くは続きません。「自信」がないのです。関心がないって事なのです。
 ブランド力を勝ち得た店舗の源は、いつもスタッフの持つ「自信」です。スタッフの自信は日々、心の奥底にあり、いざ、ここで、という時に芽生えます。アナタは自分が勤務している店舗の悪口をよそで聞いたり耳にした場合、腹が立ちますか? 逆に褒められたりした場合にはうれしいですか? 自然な感情で、腹がたったり、うれしかったりした場合、アナタはお店に対して「自信」と「プライド」を持っていると言えるでしょう。
 逆に何の感情も生まれない場合や、どこか枠の外、よそ事のような気がする場合には、アナタの心に「自信」や「プライド」はなく、ほど遠いところに位置していると言えるでしょう。この場合、スタッフにとっても、お客様にとっても、酷く不幸で、実に悲しい事です。
 自信はこれを磨いていくと、ゆるぎない「信念」となります。「信念」を持つということは、人として実に重要な事です。「信念」のゆるぎない者に、人は決して勝てはしません。「信念」は人の生き方を左右します。くじけそうな時も、悲しい時も、負けそうになった時も、アナタを救ってくれるのはいつも「自信」であり、はては、「信念」だからです。
 周りの人々はそんなにたやすくアナタを褒めたりはしません。アナタが一生懸命に頑張って努力をしていてもです。そうなると人はしょんぼりと萎えてしまいがちです。でもそんな時、アナタの心の中に「自信」や「信念」があれば、いつも力強くアナタの背中を押してくれる事でしょう。
 誰もが皆アナタを評価せず、孤立し、悲しみの中にいる時、アナタを勇気づけ、前進させてくれるのは、アナタの心の中にある「自信」や「信念」なのです。
 そう・・・、お店はね、人、つまりアナタで形成されています。
 お料理や空間や笑顔やその他のすべてを作っているのはアナタなのです。
 だからこそ、お店はアナタの「自信」や「信念」をいつもエネルギーにし、成長していきます。これがやがて本当の繁盛店となっていく第一歩なのです。
 繁盛店ではいつも人が成長していきます。たくさんの養分を繁盛店が人にさずけるからです。そしてたくさんの成長がそこにあり、成長のあかしはお店にフィードバックされ、更にお店は進化し、次なる成長を遂げていきます。
 あのね、基本は同じなのです。いつも同じ。すべては「自信」と「信念」から始まります。これらを糧として、成長は成されていく訳なのです。
 こんな時代です。明日がどうなっていくのか、誰もわからない、混迷の時代・・・。
 未来がどうなるのか、自分はこの先いったいどうなっていくのか、まったく予想もつかない不安な時代です。だから、どうか、どうか、自分に「自信」を持ってください。
 アナタの事を、誰も褒めなかったとしても、どうか、自分で自分を、おおいに褒めてあげてください。そして自分を自分で褒めた分、周りの人にも優しくしてあげてください。それがやがて未来の希望となり、アナタやその周りを前進させる事となるでしょう。
 いつの時代においても、アナタを本当に愛している人はすぐそばにいる。
 アナタの事を大切に思っていてくれる人はいつもそばにいるのです。
 それはひとえにアナタを支えているお客様であり、共に働く同僚であり、上司であり、部下であり、はては地域の皆様であり、アナタ本人なのです。
 だからどうか自分に「自信」を持ってください。ほんの、ささやかでいい。自分を勇気づけ、「自信」を芽生えさせてあげてください。アナタのその基盤をゆるぎないものとする為にも、そして、アナタの事をいつも愛している、大切な周りの人達の為にも。
 2012年度がアナタにとって良き年でありますよう、心から祈っています・・・。

この世の中を少しずつでも美しくしていきたい。

私の仕事は、そのささやかな表れである。


人間なんで修行するのも同じことだろうが

自分の好きな道で修行できるくらい

ありがたいことはない


人はいつ死んでもよいのである。

人はこの世に生まれて来て、どれだけの仕事を

しなければならぬときまったわけのものではない。


分かる奴には一言いってもわかる。

分からぬ奴にはどう言ったってわからぬ。


芸術は計画とか作為を持たないもの、

刻々に生まれ出てくるものである。

言葉を換えて言うなら、当意即妙の連続である。





自分の尊いことを知らないで 一体それで 何が出来ますか?




北大路魯山人





当意即妙(とういそくみょう)機転が利いていること。場にかなっていること。
当位即妙(とういそくみょう)あらゆるものがそのありのままで真理に適っていること。

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