スタッフ通信


VOL.39 2010/03
店舗コンセプト

 お昼ごはんを食べようと偶然入った、とあるレストランの話です。昼時にも関わらず客足はまばらです。BGMには最近のJ-POPが流れています。私は580円のカツ丼セットを注文しました。ボリュームもあり価格も安い。悪い店ではないのになぜ客が来ないのだろう? ランチメニューを見て私はなるほどと思いました。そこには本格フレンチレストランと表紙にあったのです・・・。
 飲食店を運営するにあたってとっても重要な事は「店舗コンセプト」です。飽食の時代。どの店に行ってもそれなりにちゃんとしています。今や顧客にまずいと思わせる店は存在できない時代なのです。ではそのまずいと思わせる原因って一体なんなのか? そのひとつに店舗コンセプトの「いびつ性」があげられます。店舗コンセプトって一体何? そうですね。簡単に言えば、その店が何をしたくてどんなお店であるかを、はっきりと顧客に伝えられるかどうかって事でしょうか。そしてその力があるかどうか。いわばそれが店舗コンセプトって事です。
 とある小さな焼鳥屋さんの朝礼です。「はい。かしこまりました」「大変お待たせいたしました」などと接客用語の復唱をみんなでやっている。滑稽ですよね。おかしいでしょう。そこはやはり「まいどおおきに!」「時間かかってすんません」ですよね。
 インドカリーのお店です。店内のモニターから流れているのはハリウッド映画。はぁ〜って感じですよね。なんでそうなるのって感じです。
 店舗コンセプトをしっかりと持って店舗を運営している店は中心線がブレません。逆にコンセプトがブレている店は、おそらくおおよそ今後存在していく事が許されなくなるでしょう。
 顧客はわがままです。イタリアンパスタの店で、今日はカレーが食べたい。カレーはないの? と言うこともあります。お客様から頂いた南フランスの湖の風景画。大作です。失礼があってはいけないと水墨画の横に飾る店長。近所の家の常連さんから出前できない? と言われて料理を運んでもっていく快いスタッフ。顧客の要望や希望はとっても大切です。しかし細かい様々なそれを受けるか受けないかはリーダーの判断となり、店舗コンセプトを理解していないリーダーとなると、もう、いったい自分の店が何がしたくて、どんなお店なのかがまったく分からなくなってくるのです。
 飲食店の今の時代は、どんなお店で、一体何を提供してくれるのか? そしてそこに行けば無難に失敗しない。そんな安心感が求められる時代なのです。だからこそ大手のチェーン店は店舗コンセプトに力量をおき、コンセプトがずれない仕組みを作り、これを徹底させているのです。顧客は大切なお金を出して食事をするのです。だからこそ冒険する余裕などないのです。ゆえに店舗コンセプトを明確化しこれを徹底し、顧客に伝える力のある店だけが生き残っていく事が出来るといえるでしょう。
 さて、アナタの店舗はどんなコンセプトで何がしたい店なのですか? そしてそれをアナタは答える事ができますか? もしも自分の所属する店が何がしたくてどんな店なのか分からないのであれば一度リーダーに聞いてみてください。そして店舗コンセプトを理解したら次はそのコンセプトに、ゆがみ、がないよう点検してみてください。店内の装飾は本当にそれでいいのですか? 接客スタイルはそんな感じでいいのですか? 提供する料理は本当にそれでいいのですか? 制服は? 照明は? BGMは? 店舗コンセプトとはつまり、お客様の期待に応えられるかどうかの重要な一本ラインなのですから・・・。

釣れないときは魚が考える時間を与えてくれたと思えばいい   ヘミングウェイ

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