スタッフ通信


VOL.34 2009/10
低価格とクオリティ

 デフレスパイラルって言葉を聞いた事がありますか? 色々な商品の価格が下落し、それでも売れない・・・。だからまた価格を下げる。競争が激化する。それでもモノが売れない。簡単に言うとそれがデフレスパイラルです。
 リーマンブラザーズという会社がアメリカで破綻して以来、世界中が大不景気となり、日本もその煽りを受け、今や都市部も地方も苦難の時代にさらなる拍車がかかり始めました。お客様の財布の紐は強烈に堅くなり、モノはそう簡単には売れません。
 都市部では 飲み放題・食べ放題 は当然の事ながら、380円均一、280円均一などと、同一価格システムを採用する飲食店も多々現れ始めました。そんな中、とある会社のオーナー様がこんな事を言っていたのを思い出します。
 「飲食業はサービス産業・ホスピタリティ産業(人の心を癒す仕事と思ってください)。だから価格で勝負するのではなく、クオリティで勝負する事が必要だ。」・・・と。
 簡単に言えば、人の心を癒す仕事なので、低価格路線をする事は危険だし、滞在するその時間をいかに有意義なものにしてもらうかに力を注ぐべきであるということです。そしてそれが次の来店につながるのでは、と言うのです。
 なすグループのスタッフは、お客様に来て頂く商いに携わっている。つまり来店型のビジネスと言うことです。で、お客様に実際に来てもらう為には、足を運んでもらう為には、○価格で勝負するのがベストなのか、はたまた、いいサービスやいい接客で勝負する、つまり、○クオリティに力を注ぐ事の方がベストなのか? どちらを取るのがベストな方策か? 難しいですよね。そのどちらも正解だと思うし、どちらもベストな事だと思います。顧客にしてみると、価格とクオリティサービスの両方が両立し確約された方がいいに決まっている。でも現実には、低価格で勝負する店もあれば、高価格・高クオリティで勝負する店もある。そしてその両方を、つまり低価格で高クオリティを提供してくれる所はなかなか存在しません。実際にはそれは無理な事なのかもしれません。
 で、二者択一です。アナタが店舗のリーダーだったら、どちらの道を選びますか?
 今、飲食市場はその選択に迫られている極めて特異な時代に入っています。どちらの選択も店舗の戦略として重要な要素です。価格か? クオリティか? その二者択一だけが販路のすべてではないかもしれません。しかし、その二者のどちらかを選択する事が、繁盛店を模索する道の近道であるということは今の時代ではいえるでしょう。
 昔であれば、テーマコンセプトや、専門特化分野や演出などである程度の話題をとれた時代もありました。しかし今消費者ニーズは、非日常でのクオリティ提供なのか、日常の低価格路線の提供なのか、これを無意識に吟味しているのです。
 価格かクオリティか? アナタが店舗のリーダーであればどちらに舵をとりますか? 今、アナタが在籍している店舗はどちらが得意で、アナタの店舗の社会的イメージはどうなのか? そんな常識的論理が実はお店の重要な舵取りを鈍らせている現実があり、顧客にとってみれば価格とクオリティの両方の満足が必要であり、店舗にとってはそれは至難の業・・・。混迷の時代。こんな今だからそこ、固定概念や既成観念などにとらわれない、独自の店舗戦略が必要なのかもしれません。
 さて、○価格の安い日常的なお店。○クオリティサービスがよい高級店。アナタが店舗のリーダーならどちらの戦略を取りますか? そしてアナタがお客様で月に3回来店するならどちらのお店に何回行きますか? はたして・・・。顧客心理とは難しいものです・・・。
 闇は不滅の魂の躍進をはばむものではない。ヘレン・ケラー

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