スタッフ通信


VOL.33 2009/09
最終局面の重要性

 最後の最後でがっかりした・・・。居酒屋で、そういう経験をした事はありませんか? 
 いい接客と心配り。スタッフの笑顔が輝いていて、客席は最高にくつろげる空間! お料理はすべて満足で、申し分なし! で、そろそろ帰ろうか・・・。そんな風に考えて、お会計をお願いすると・・・。これは一体どうなってんの!?(激)
前回にも書きましたが、お客様は、意識の枠内と無意識下の感性があり、知らず知らずにそのお店が自分にとって得か損か、利があるか、ないかを判断するものなのです。
 で、この判断の最終局面が、いわゆる――【お会計】――なのです。
 これはいわばお客様の最終決断点・評価点と言ってもいいでしょう。自分が受けたサービスや空間に対して、いったいどれくらいの価値・値打ちがあり、お店側はどんな数字を持ってくるのかで判断する最終局面なのです。
 お会計・・・。実はここに大きな局面・難題が隠されていることを知らねば、お客様の心理には遠く近寄る事は出来ないし、それを知り、どのように接すればいいかを知っているスタッフが多いか少ないかで、その店の実力が大きく分かれるというものなのです。
 お会計時のミスはダイレクトにお客様の満足度に影響を及ぼします。
 例えば、会計の依頼がかかってから数字を提示するまでの時間の遅さ。お金を支払ってからお釣りが来るまでの間合い。とりわけ会計時のミスなどが後で発覚すると、お客様とお店側が受けるダメージは想像以上です。それは今まで行ってきた滞在中のすべての努力が水の泡と化すだけでなく、次回来店の可能性を極めて低くするものなのです。
 また大型店舗やチェーン店によくある、機械的で事務的なお会計なども、お客様は良しとしません。フレンドリーな接客や空間であればある程に、事務的作業のような会計は許されない時代なのです。
 会計時には今まで以上に笑顔が必要となってきますし、気の利いた言葉のひとつふたつも必要になってきます。優良店ともなると、会計は店長や女将が必ず行ったり、会計時には少なくとも何分以上お客様とお話をすることが決められているお店すらあるくらいです。
 顧客心理から言うと、お会計の時、お客様はその店のだいたいの点数を心の中で決めています。良い店か、そうでないか・・・。いくらくらいだろう。こんな感じの金額だろう、と・・・。そしてお客様は自分が受けたサービスと、提示された会計金額の差が大きくなければ、事前に決めている評価点をその店に下す事になるのです。
 また会計時の手際の良さでその店の評価が上がるともいえるでしょう。それは単に会計のみをするのではなく、お客様に対してどのような形で感謝の気持ちを伝えるかにかかってきます。いわばそれは【心配り】です。雨が降っていれば傘を心配し、雪が降っていれば足下を心配する。そんなささやかな最後の【心配り】を見せる瞬間。それが会計の時なのです。そんなお店側の気持ちをお客様が感じ取ると、そのお客様は非常に強い顧客となり、また別のお客様を連れて来店されます。滞在中にお客様が感じた、悪い思いも、帰り際のお会計時の【心配り】で払拭出来るのかもしれません。なぜなら最後に感じた心の印象を人は最も強く、記憶の脳裏に残すからです。
 お客様を笑顔でお見送りする時、そしてお客様が心から満足し「ありがとう。また来るね」と言ってくれる時、それはお会計が完璧に行われ、私たちの【心配り】が見事に伝わった瞬間なのかもしれません。飲食業をやっていて最高にうれしい瞬間でもあるのです。
 さて、アナタのお店はいかがなものですか? お会計、上手に出来ていると思いますか?

 行動だよ。何もしないで、ある日突然潜在能力はあらわれはしない 勝沼精蔵(解剖学者)

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