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スタッフ通信
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VOL.26 2009/02
ヒット商品
ヒット商品は一体どうやって作ればいいのか・・・。すべての業界で考えられる永遠のテーマです。飲食業においてもそれは同じです。一見するとヒット商品を作るというのは難しくて困難なように見えますが、実はそんなに大変な作業ではありません。
ヒット商品を作る作業には、それなりのコツがあり、しっかりとそれを押さえていれば実は簡単に出来てしまうのが現実です。特に飲食業の場合は、単純に物を売って成立する商売ではなく、空間や状況や心配りをお客様にお届けする商売なので、商品の力だけではなく、その商品をどうやって演出するかの独自性が出しやすく、ヒット商品が容易に出来やすい環境にあるともいえます。またヒット商品を作りこんだとしても、飲食業の場合にはそのメンテナンスを怠ればすぐにヒットでなくなるという現実もあります。
「う〜ん。なんだか意味がよくわからんなぁ」と思った方にもう少しわかりやすく・・・。例えば本日のおススメですよ、とお客様に商品をおススメして食べて頂く。時には僕の今日一番のおススメです、なんて言葉でお客様に注文を頂く。そして、その後は? そう、実はその後が大事なのにもかかわらず、たいがいの場合はなんのフォローもないのが今の飲食業界全体の現実です。今日のおススメ、僕のおススメと言っておきながら、その後に、先ほどのお料理の味はいかがでしたか? 美味しかったですか? この商品は実はすべてを手作りしていて特にこの部分が・・・、そんな言葉のひとつもない。これでは悲しい話ですし、ヒット商品の芽をもつメニューでもヒットになる訳がありません。
商品をおススメし、なおかつ人気メニューとして成長させるにはそれ相当の方程式があります。まず、そのメニューについての思い入れや商品の詳細を「語る」ことができること。また、そのメニューをお客様と一緒に「共感」できること。そして、そのメニューそのものに他と違う「差別要因」があること。ヒットの兆しにこれはなくてはならないものです。そのメニューが美味しいなんてことは当たり前ですし、また美味しいは主観によるので実は人それぞれです。しかし「語り、共感し、どこか違う差別性」は決して主観ではなく、意識導入(刷り込み)なので、それが成功すると、その商品はヒットにつながる可能性が大きくなるのです。これが飲食業(居酒屋業)におけるヒット商品の作り方です。
とはいうものの「いまひとつよくわからん」という方は、こんな感じです。おおむねたくさんの人が注文する商品。これは定番商品であり、ヒット商品ではありません。本当の意味でのヒット商品とは、その商品を食べたいと思い、遠くから足を運びたいと思うこと。そして実はそれは、商品そのものがもつ力ではなく、商品を運ぶ人の力であり、創る人の想いであり、笑顔であり、心配りであり、優しさであるのです。それが飲食業のヒット商品であり、いわばそれは商品に入った魂みたいなものなのです。お客様はその見えない魂を知り、始めて「美味しい」と感じ、心から「ニッコリ」となり、またここに来てこれを食べたいと思うのです。私たちはそんなお客様の「ニッコリ」を受けて、私たち自身も、ほんのりと幸せになる。これが本当の意味でのヒット商品であり、これがたくさん出れば出るほどに、その店はトータルバランスとして、いい仕事をしているプロ集団といえるのです。
また次に行きたいなぁ、と思う店に出会うことが最近ありましたか? またそこでコレを食べたいなぁと思うことが最近ありましたか? お客様の心に残る仕事をするには相当なのエネルギーが要ります。ヒット商品の作り込みも同じで相当なエネルギーが必要です。しかし実はこのエネルギーの創出こそが自分を磨く最大の近道なのかもしれません。
自分の限界を超えてまで物事をやり抜くと、おのずと開けてくるものがある。 波田健治郎