スタッフ通信


VOL.23 2008/11
カイゼン --改善--

 この国の高度経済成長を支え、戦後ここまで発展したその理由は、実は--「カイゼン」--この言葉にあると私は真剣に考えています。戦後、私達の先輩方は実によく働きました。夜も寝ず自分の職に心血を注いで働きました。その過酷な労働の中において、少しでも効率がよく、少しでも他社に一歩先んじたい。その一途な思いがグローバル社会の中に適応させ、戦後の荒廃したこの国を短期間の内に成長させ、他国に類を見ない先進国家を築いたのだと思っています。では改善(カイゼン)とは一体いかなるものなのでしょうか?「改善し改革せよ!」いつも朝礼で皆さんが言っている言葉ですが、改善や改革なんてものは決して大げさなものではありません。本当に小さい気付きからそれは生まれます。
飲食業で言う簡単な事例で言えばこんな感じです。「天井に扇風機があれば暖気がかき混ぜられ電気代が浮くかも!」「面倒でもお客様をお手洗いまで連れてってあげよう!」「サラダは前もって準備してれば提供が楽だぞ!」「湯たんぽがあれば電気代が安くお客様も喜ぶかも!」「本日のオススメなんだから毎日手書きで書こう!」こんな風に言い出すとキリがないくらいに仕事の中には、改善の痕跡とこれから改善されるのを待ちわびる「それ」が数多く隠されています。改善のすべては日常繰り返される行為であり、決して大それたことではなく、ごく自然で、そして些細な心配りや、ちょっとした気付きから生まれるものなのです。やがてそれは改革となり大きな成果を生み出すのです。
飲食業の改善には3つの種類があります。私はいつもこの3つのバランスを考えます。その種類とは、@お客様側に立った視点の改善 Aお店側に立った視点の改善 Bお客様とお店側のどちらにも立った視点の改善 です。改善とは面白いもので、単純に言い換えると「楽をする」事です。そして、その「楽をする」のは一体誰かという事なのです。お客様かスタッフか、このバランスはとっても大事で、少しでもこのバランスが壊れると、お客様もスタッフも決して嬉しい改善とはなりません。特に飲食業はそれが顕著に現れます。スタッフや店の事ばかりを考えて改善を実行すると、お客様から不満の声があがり、多くのスタッフはその声を聞いて萎えてしまい、嬉しい改善とはなりません。またお客様の事ばかりを考えて改善を行うと、スタッフは疲弊し、疲弊したスタッフの顔を見たお客様は決して楽しいとは感じません。このバランスが上手く取れた改善を行うとその飲食業は繁盛し、お客様とスタッフが共に嬉しいと感じることが出来、当然のようにこの世に求められ、瞬く間に店舗数が増えていくのです。
 日常の中で、「こうした方がいいんじゃないかな」そう思う瞬間があればすぐに上司に言って改善を提案してみてください。そしてその時、それはお客様にとってどうなのか、我々スタッフにとってどうなのか。これをよくよく吟味して欲しいのです。もしそれがスタッフ側ならば、今度はお客様側になった改善を実行してみるのです。「これで少し作業が楽になったぞ。空いた時間をお客様の為に使おう」こんな感じです。
 飲食業における改善とはすなわち、スタッフの為に行いお客様の為に行う。これがベストな改善で、そのどちら側に偏っていてもダメなのです。100円で寿司を出すのはお客様にとって最高の事です。でもスタッフが疲弊しないように寿司を回転させればいいんだ!
 本当の意味での改善とは、決して楽をする事ではなく、効率の良い流れを追及し、結果を生み出し、その効率の余力がまたお客様に反映されるものなのです。
究極的な改善が成された時、お客様もスタッフも幸せになる。これはいつの世も変わらない普遍的な事実なのです。
 冷静さを保ち 精神を集中して 興奮しすぎないよう そして疲れないよう M・シューマッハ

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