スタッフ通信


VOL.22 2008/10
AIDAS(アイダス)

  そもそも飲食業の本来あるべき理想的サービスとは一体どんなものなのでしょう? 
  私はこの事をよく考えます。大手の飲食店の中でも同じような立地環境にありながら全く違う売上であるという事がよくあります。チェーン店ですから当然商品はまったく同じ。空間も同じ。そして立地が同じであるのに売上に格段の差があるのです。同じ店舗でも店長が変わった瞬間に売上が大きく異なることもこの業界ではよくある話です。ではそれは一体どうしてなのでしょう。
 実はこれは飲食業だけに発生する現象ではありません。飲食業ほどの格差はないにせよ小売業にもこの事がいえます。その他の業界においても、とある品々(商品)を販売する以上、実は販売する人達の力で大きく販売量が変わったりするのです。
 これは、販売する商品というものは、それそのものに魅力があるなしに関わらず、最終的に販売者の応対や熱情、またお客様とのコミュニケーション能力の高低により、その商品の最終価値が大きく変わってくるという事なのです。これが販売量の差となり売上の差となってくるのです。
 少し簡単に言います。アナタがお客様に対して、そのメニューを食べて欲しいと強く思うなら、その気持ちが強ければ強いほどに、お客様にはそれが伝わります。面白い事にどんなに口下手な人でもその思いは必ず伝わるのです。どんなに口先で上手くしゃべってみても、心から感じていない事というのはお客様には伝わりません。「百年の経験と口の上手さより、その時の情熱の熱さの方がお客様には強く響く」というものです。
 お客様は接客するアナタや厨房で仕込みや調理をするアナタの事を、実は無意識の内に強く感じています。そして飲食の場合には実際に口に含み自分の栄養となり、生きていくには欠かせない日々の行為そのものだから、その自己の防衛本能が強く働き、いつも必ず無意識の内にそのスタッフの心の中の熱情を感じ取って計っている、そんなものなのです。
 ここにお客様の心模様を上手く表した方程式があります。実に冷静に表現していて、私も以前に徹底的に意識をさせられた方程式です。それはそのプロセスの頭文字をとって「AIDAS(アイダス)」といいます。AIDASはお客様がその商品を注目してから購入に至るまでの心のプロセスと、それに関わる店員の絶対に知るべき顧客心理を表しています。
 Aはアテンション→注目する。Iはインタレスト→興味を持つ。Dはデザイアー→意欲が湧く。Aはアクション→購入する。Sはサティスファクション→満足する ※別紙参照
 実はこの単純な顧客心理の方程式を、店員サイドの側から理解した時、そしてお客様と一体になった時、商品の購買に非常に大きく結びつき実績として作られていくのです。つまりそれは、お客様の心を理解し、自分もその商品の購入に一緒になって楽しみ、アイダスの心理状態の変化を上手く活用し、顧客と一体化している事に他ならないのです。
 これは言わば接客業の醍醐味です。飲食業でいうならこんな感じ。厨房が創造する美味しい商品をアイダスの心理を理解して見事販売がかなった時、おまけに「美味しい」とか「嬉しい」とか言ってもらったら、接客している人はさも自分が作ったようなそんな感覚に陥り、走って料理長にこの事を知らせたい! そんな心境になるものです。
 私達はその仕事をやらされていると感じた瞬間、その仕事は恐ろしく辛いものになるでしょう。しかし本来の仕事とは生活の一部です。1日に時間も割く生活の一部なのです。どうせならとことん前向きに自分から仕掛けお客様と共に楽しみたいものです。
 さてアナタにとって理想的なサービスのあり方って一体どんなものですか?

 やるだけ精一杯やったら人になんも言われへんから。やるだけやったんねん 清原和博

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