教育監査の
コラム


VOL.144 2015/11/02

「広告を打った時だけは、お客さんが来るんだけど。。」と言いながら、何度も広告を打っているお店があります。

広告はカンフル剤のようなものです。一時的な効果はありますが、持続性はありません。

大事なことは、広告を見て1度来て頂いたお客さんに「再び来て頂ける」かどうかなんです。

デートに置き換えると良く解ります。

1回目のデートは「ディズニーランドに行こう!」で成功したとしても、当日楽しくなかったら2回目はありません。

ディズニーランドに行こうという誘いは「僕とデートしてくれたらディズニーランドがついてくる!」という特典付のチラシのようなものです。

2回目を断られたからといって、「今度はユニバに行こうよ!」と言ってもダメなんです。そういう問題ではないからです。

デートの話に置き換えると誰でも解ることなのに、お店のこととなると「今ならお得!35%off!」「期間限定、海の幸プレゼント!」「抽選でペア5組10名様に◯◯ツアーご招待!」・・・という特典で、毎回お客さんを繋ぎとめようとしてしまいます。

新規のお客さんが全く来ないのは、広告に魅力がないのかもしれません。でも、広告を打たないと来ない(打てば来る)のは、広告が悪いのではなく、『特典しか魅力のないお店』だからなんです。

マクドナルドには、シャカシャカポテトというフライドポテトがあります。(今はもうないかな?)

普通の塩味の代わりに、梅しそ味やカレー味が選べるようになっています。

お客さんは、まず専用の袋の中に、ポテトをいれる。その中にお好みのスパイスをいれて、袋をシャカシャカと振るわけです。

このシャカシャカが結構楽しい。

お店では、高校生が、その向こうでは大人もシャカシャカやっている。

子供だったらこれをやりたいがためにポテトを買うわけです。

「フライドポテトに新しい仲間が増えました!」「塩味、梅しそ味、カレー味・・・どれでも○○円!」

...こういう売り方では面白みがありませんよね。

マクドナルドでは、お客さんにシャカシャカポテト用のスパイスを10円で買って頂くようになっています。

これがもし、最初から梅味、カレー味のポテトが用意されていたら多分10円は取れないでしょう。

お客さんにシャカシャカを楽しんでもらう。この『アトラクション代』が10円なのです。

平日半額や、アニメのキャラクター人形のプレゼントだけが人気の秘訣なのではありません。こういう遊び心が良いのです。

サービスというのは、『小さくて気づかないような仕掛けをたくさん用意する』こと。

10円値引きするのではなく、『10円頂いて100円分お客さんに楽しんで頂くこと』がサービスなんです。

スーパーでも、なんとなく買いやすいお店と、買いにくいお店があります。

買いにくいお店は、特売品をたくさん並べることがサービスだと言わんばかりに陳列しています。

安いからお客さんは買います。でも結局は「いっぱい買ったけど、今日の夕食何にしようか」・・・。お客さんにムダな買い物をさせてしまうのです。

一方、買いやすいお店は、ムダ遣いせずに買い物ができるお店です。

白菜、ネギ、魚、・・・と特売品を買っていくと、例えばそれが鍋料理の材料になる。すると自然に「夕食は鍋料理でどうですか?」という提案になっているわけです。

わざわざ「今日の特売品を買っていくと鍋料理の材料になります!これが提案です!」とは言いません。

でも、そういう気づかないようなサービスが、お客さんを「なんとなくあそこのスーパー買いやすいよね」という気分にさせるんです。

旅行代理店の場合はどうでしょうか?

ここは「ウキウキ」を売っているお店です。

お客さんは、旅行という「非現実」を買うわけです。

お店でハワイのパンフレットを見ているときから、旅行はスタートしています。もう気分はハワイなのです。

お店に行く。そこでどれだけウキウキするようなプランを提案されようと、スタッフが爽やかで素敵な笑顔のイケメンだとしても、店内で会議の予定が書かれたホワイトボードや事務用ファイルが無造作に見えてしまったら台無しなんです。

それだけで「そういえば金曜日までに報告書を出さなきゃいけなかったな・・・」と現実に引き戻されてしまうんです。

安いことは魅力です。

でもそれだけでは、いずれどこかのディスカウントショップに負けてしまいます。

「あのお店、なんとなく行きやすいね」「行くと楽しいね」「気軽で頼みやすいよね」

「なんとなく」といわれる隠し味をサービスとしてたくさん用意していこう!!

今日も1日よろしくお願いします(*^_^*)!!

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